
日本GWT協会主催 | 上級アドバイザー養成講習会 Aプログラム |
開催日程 | 2025年2月8日(土)~9日(日) |
会場 | 山崎製パン企業年金基金会館 会議室 |
日本GWT協会初級アドバイザーの資格をもっているGWT愛好家、上級アドバイザーの資格をもっていて更なるブラッシュアップのために駆けつけたGWT実践者、合計10名が参加して「上級アドバイザー養成講習会」が開催されました。
内容は実に濃密で、特に、私のようにファシリテーターをする機会がある人には、是非とも受けてほしい講習会でした。その理由はずばりこれ!
ファシリテーションができるアドバイザーとして身につけるべきこと(ファシリテーターの在り方や参加者の気づきを深めるような問いかけ、財のつくり方etc.・・・)がストーリー性のあるプログラムデザインによって自然に学べる。それがグループワークをしながら。

この「グループワークをしながら」というのが最大のミソ!
日本GWT協会では、上級アドバイザー養成講習会のプログラムを2種類(A、B)用意されていて隔年で開催しているそうです。
2025年度の今年はAプログラム。グループのメンバーとワークをして、その振り返りでの気づきや三好先生の講義を通して、アドバイザーとして身につけるべきことを学びます。
そして、来年の2026年度はBプログラム。
初級アドバイザー養成講習会のテキストにある財を、実際にアドバイザー役になって進めるのだそうです。



Aプログラムで学んだ理論をBプログラムで実践するということです。
A、B両方の上級プログラムを受けることが、日本GWT協会上級アドバイザー審査を受ける条件の一つになっています(詳細は、日本GWT協会のHPを参照)。
それでは、この2日間の講習会を振り返り、特に印象に残ったことについて咀嚼しながら書きとめたいと思います。
【2日間のプログラム】
1日目
- 上級アドバイザー養成講習会の目的・背景
- アドバイザーが行う3つの仕事
- 場のデザインのスキル
- ファシリテーターとしての行動&スキル&マインドの振り返り
2日目
- 1日目の振り返り
- 問いかけの目的
- 気づきを深めるための問いかけ 経験からの学びを深めるために
- グループワーク「すごろくシートをつかったGWT財をつくろう」
【2月8日(土)】


折しも今季最強の寒波襲来による雪の影響で新幹線のダイヤが始発から乱れに乱れ、私を含め、何人かの参加者は遅刻を余儀なくされました。
何とか市川にたどり着き、講習会会場の部屋に入ると、到着している皆さんがサークルになって「チェックイン」をしていました。
こちらとしては遅刻をしているので気が焦っていましたが、講師の三好先生が「今、チェックインをしています。準備ができたら空いているお席にどうぞ」と笑顔でゆったりとした口調で声を掛けてくださり、また、皆さんも穏やかに緩やかにチェックインをしていたので、とても気持ちが落ち着きました。



これだけで、「朝早くから大変だったけど、来てよかった」と思えました。
こういう雰囲気づくりは参加者に安心感を与えます。ファシリテーターの大事な仕事だと思いました。
上級アドバイザー養成講習会の目的・背景
「不確実で変化の激しい時代」
このワードは、よく耳にする今の時代を表現する言葉。
刻一刻と変化し、何が正解かが分からない世の中でも主体的に学び続け成長するには、今まで通用してきた“「定番」でよし”としていてはNG。
一方通行に終始する講義や旧態依然とした教材での学びだけでは、世の中の激しい変化に柔軟に対応しきれません。
体験して得た学びや気づきを自分の日常生活に活かすことを真髄としているGWTなので、その時その時の時代の要請に合ったエッセンスを取り入れた財づくりや参加者主体の学びの場になるようなファシリテーションがとても大切。
そのマインドとスキルと自分の日常の行動を、集まったメンバーと共にこの機会に見直し、アップデートしましょう!
私たち参加者に対する三好先生からの熱いメッセージが心にビシビシと刺さりました。
そして、この講習会での自分のゴールとマイルールを決めました。
ゴールがあるからこそ、それを意識して研修することができるし、設定したマイルールを心掛けることでゴールに近づくことができるわけです。



自己選択、自己決定できることは、人が能動的に行動する仕掛けだと思いました。
アドバイザーが行う3つの仕事
① 財のデザイン ② デリバリー ③ ファシリテーション



特に強調されていたのは、ファシリテーションです。
参加者が主体となって、研修の目的を達成できるように支援する。
参加者の考えを促したり、体験学習での学びや気づきを深めたり、実践に向けての具体的なイメージがもてるようにしたり・・・。
決してアドバイザーが主役にならないようにプログラムデザインを考える必要があるということを学びました。
場のデザインのスキル


参加者にとって研修の場が「居心地がいい」と感じることができれば、学ぶ意欲が高まり、「来てよかった」につながる。



そのための雰囲気づくり、場のデザインが大切。
- 会場の出入口のドアが開いているか閉じているか。
- 主催者や講師からの声掛け、あいさつ
- 座席は自由席か指定席か。
- 机やいすのレイアウト etc.
思えば、私がこの会場の部屋に来た時、出入口のドアが開いていました。
遅れてきた私たちに、三好先生が温かい声掛けをしてくださいました。
仮に、ドアが閉まっていてそーっと部屋の中に入った私たちに対して誰も声を掛けることなく、研修のプログラムが粛々と続けられている状況だったとしたら、その状況が無言の圧力に感じていたと思います。
参加者が安心して参加できる雰囲気になるよう、参加者目線を大切にした場のデザインに心掛けたいですし、普段でも、安心して働ける職場になるために自分ができることをしていきたいと思いました。
ファシリテーターとしての行動&スキル&マインドの振り返り
1日目の最後は、ファシリテーターとしての自分の振り返り。



全部で15項目あり、それぞれを10点満点としての点数をつけていきました。
研修のときだけでなく、職場にいるときの自分にも当てはめて評価しました。
- ステージ脇で導く役割に徹する。(徹することができているかな。心掛けてはいるけど。)
- ポジティブな学びの場をつくる。(前向きな問いかけをするようにはしているけど、できているかな。)
- 安全な学びの場を提供して、自信をつけてもらう。(今後の見通しはもってもらうようにはしているけど・・・)
メンバーの皆さんに「なぜその点数にしたのか」を伺うと、その項目にかかわる出来事や思いを答えてくださいました。



自分とは違った捉え方にも触れることができました。
マインドとしては持っているけれどスキルや行動が伴っていないことはよくあります。
だからこそ、時々立ち返ってスキルを磨いたり、フィードバックをもらったりする機会が必要だということを実感しました。
【2月9日(日)】
開いた質問の練習(1日目の振り返り)
グループで1日目の振り返りを述べた後で、「開いた質問」をして話の内容を深堀りするワークでした。
私は自分の振り返りをメンバーの皆さんに伝える際に、うまくまとめることができませんでした。
そんな私に対して、皆さんは「開いた質問」(=具体的には?例えば?など、思考が広まったり深まったりする質問)をして、私の散らかった話を整理してくださいました。
そしてこのワークがやはり上級講習会のプログラムだなあと思ったのは、「振り返りのふりかえり」があったことです。
1回の振り返りをするだけでも自分やメンバーがどうだったのかに気づくことができますが、その振り返りをさらに振り返ることで、グループで対話する価値がより鮮明になるし、1日目に得た気づきや学びがさらに深まる感じがしました。
問いかけの目的
ファシリテーターの最大の仕事は、ズバリ「問いかけ」。
参加者の学びや気づき、そしてその後の行動の質が高まるか高まらないかは、ファシリテーターの問いかけ次第で大きく変わる。
このことを強く思いました。
三好先生は、こうおっしゃっていました。


参加者の様子や反応はライブです。
そんなライブな状況に応じて、開いた質問、閉じた質問を駆使して考えを促したり引き出したりして、参加者に体験中の自分やメンバーの様子や思いなどを振り返り、分かち合ってもらう。
そして、そのようにして得た気づきや学びを自分の行動にどのようにつなげてもらうか。



このプロセスこそファシリテーターの腕の見せ所なのでしょう。
ただ、それを可能にするには、場の空気や参加者の水面下の思いを見抜く洞察力が必要なのだと思いました。



うーむ。問いを立てるってとっても深いし、難しい・・・(+_+)。
気づきを深めるための問いかけ 〜経験からの学びを深めるために〜
- 「ワークの間、どんな会話がされていたか?」
- 「誰がどんなことをしていたのか?」
- 「なぜ、うまくいったのか(いかなかったのか)?」
- 「テーマになっていることについて、大切だと感じることは?」
- 「自分の生活の中で、何をどのように活かすか?」
財の振り返りは、目に見える現象(コンテント)で終わってしまうのではなく、見えない水面下(プロセス)に迫るふりかえりが必要であることは、この2日間をかけて深く頭に刻み込みました。
GWTは、財体験での気づきや学びを日常化につなげる体験学習なので、
- 「『苦手だな』と思った瞬間に思考がストップしちゃうなあ。」とか、
- 「夢中になると、他の人の様子は見えなくなるなあ。」とか、
- 「最初に役割分担をすると各自やることが分かるから、作業が一気に進むなあ。」
というように、体験をしてみたからこその学びは体に染み渡ります。
このことについて、三好先生は以下の話をされました。


人は経験から学ぶことがとても多いことが分かり、改めてアドバイザーとしての責任をひしひしと感じました。



それと同時に、アドバイザーとして間違ってはいけないと思ったことがあります。
それは・・・
参加者は、財の課題が出されると、基本的に何とか達成しようとグループで取り組むのですが、アドバイザーが、課題とするグループワークをいかに盛り上がるものにするかに傾注し、盛り上がったから財はОK、参加者を楽しませたからアドバイザーとしてOKと捉えてしまうことです。
財が盛り上がるか盛り上がらないかというコンテントではなく、
- 盛り上がってもらうことで何に気づいてほしいのか。
- その気づきが得られるような仕掛けが財の中に仕込んであるのか。
- 財の体験での気づきや学びが財のねらいにつながり、日常の行動変容にもつながる振り返りシートやティーチャーズコメントであるか。
が大事だと思いました。
参加者自身が気づきや学びを深め、自分の行動も変えてみようとアクションを起こせるような財づくりやファシリテーションスキル。
「これこそ、トレーニングを積まないと身につかないぞ」と思ったところで、とっておきのプログラムが待っていました。つづく・・・。
グループワーク「すごろくシートを使ったGWT財をつくろう」


Gender Map 地域・社会生活編
(1996年3月発行/東京女性財団)
午前中の11:00過ぎからスタートし、昼の時間を挟んで14:30ごろまでのグループワークでした。
私たちのグループは、すごろくをまずやってみて、感じたこと、思ったことをもとに、どんなことに気づいてほしいかという財のねらいを考えました。
財のねらいを言葉で表現するのにずいぶん時間を掛けました。



使う言葉や言い回しによって ねらいの伝わり方が変わってしまうからです。
ねらいが決まったら、実際のすごろくの進め方を考えました。
すごろくのマス目には、ジェンダーや地域とのかかわりについての質問等が書かれてあるので、止まったマスに書かれたあることについてグループで話すことにしました。
ジェンダー意識を問う内容が書かれたマスに止まったら、その内容が自分にとって〇か×か△か(「そう思う」か「ダメだと思う」か「どちらとも言えない」か)を自己判定するようにしました。


メンバーのお一人が、「自分とメンバーの自己判定を見える化すると互いの違いが分かりやすいのでは」とアイデアを出してくださり、みんなが「いいね」となり、見事採用。



これまでのGWT財の経験がもたらしたアイデアだと思いました。
「ふりかえりシート」の質問項目の言い回しにも悩みました。
財の体験をした後で、何度となく「ふりかえりシート」で振り返りをしてきていますが、なかなか「これだ」と思える言葉がすらすらと出てこず、メンバーと「ああでもない。こうでもない。」と知恵を出し合いました。
この財づくりのプログラムは、まさにこれまでアドバイザーとして学んできたことをお互いに出し合わないとできませんでした。
自分だけで財づくりをするとなると、「これでいいのかな。どうかな」と不安が先に立ってしまっていたと思います。
メンバーと運命共同体でまさに協力して創り上げた財なので、自信をもって発表することができました。



充実したトレーニングができました。
上級アドバイザー養成講習会Aプログラムの中身は、開催されるその時々のニーズに合わせて、三好先生がアレンジされているそうです。
今回のプログラムを参加者の皆さんと気づきや学びを分かち合いながら受講したことを通して、アドバイザーとしてもっているべきマインドやスキルに関する、三好先生の熱いメッセージをいただいた気がします。


過去に上級アドバイザー養成講習会を受けたことのある方も、是非参加されることをおススメします。じっくりと学び直しができます。
- 日頃、研修の講師や会議のファシリテーターをされているあなたも是非!
- ファシリテーションに興味があるあなたも是非!
- 職場や地域等での人間関係づくりに関心をもっているあなたも是非!
- 日本GWT協会のHPをご覧になっているあなたも是非!
上級アドバイザー養成講習会を受講するには、初級アドバイザー養成講習会への参加が条件になっています。(協会HP「資格取得と研修一覧」のページ参照)
5月には、三好先生が作られた新財をたっぷり体験できる「グループワーク・トレーニング(GWT)づくしの特別セミナー」が開催されます。
GWTをまだ体験したことがないけれど興味をもたれた方、新しいGWTの世界にどっぷり浸かりたい方は、是非ご参加ください!



by GWT学び直し隊
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